「命にも関わる問題。そんなに待ってはいられない」ー『となりのLGBTさん』
私はLGBTではない。ときどきトランス・ジェンダーではと思うときもあるが、やはり違うとすぐに気付く。
それよりもさらにマイノリティだと自分では思っている。
なので、私たちよりも「メジャー」であるLGBTの問題がまず解決されないと、私たちにまでお鉢が回ってこないだろうと思っている(ややネガティブかもしれないが)。
LGBTを含む性的マイノリティは、電通の調査では、7.6%もいる。*1
つまり13人に1人が性的マイノリティということになる。社員数1000人の企業なら、75人ぐらいいる計算になる。
先月の共産党の支持率が2.9%(NHK調べ)なので、共産党支持者の2.6倍ほどいることになる。
共産党は、もっと性的マイノリティ支援に乗り出すべきではなかろうか(もちろん希望も社民もだ)。
冗談はさておき、13人に1人が性的マイノリティということは、もっと知られるべき数字ではなかろうか。
『となりのLGBTさん 性的少数者があたりまえに生きられる日本へ』(朝日新聞デジタルセレクト)を読んだ。
2013年7月12日~26日の朝日新聞の記事をまとめた薄い冊子だ。しかし内容はなかなか濃い。
3章構成になっている。
第1章は、LGBTが会社ではなかなか打ち明けにくい状況について。
第2章は、それでもカミングアウトを選んだ人について。
第3章は、会社や職場の同僚が考慮すべき事について。
取材から約5年が経つが、状況はあまり変わっていないように見える。
私がLGBTとはぜんぜん関係のない仕事で取材したときの話。テーマは「働き方改革」だった。
「理想的」な職場環境を既に実現していると思われる28歳の若い社長が語ってくれた。
「古い考えを持っている人間に考え方を変えろと言っても無理。彼らが死に絶えるまで、世の中は変わりません。僕ら若い世代は、自分たちが変わっていけばいいと思っています」
これはこれで正しい考え方だろう。実際、社会が変わるには一世代、約30年かかる。
しかし、同書の一番最後のQ&Aもまた真実だ。
――世代交代が進めば、多様性に理解が広がりますか。
「いじめや失業、命にも関わる問題。そんなに待ってはいられない。会社の対応も大事だが、一人ひとりが職場で出来ることから始めてほしい。自分の周りを変えるだけで、当事者は助かる。『私は抵抗ない』と逆にカミングアウトしてもらえたら。これは5%*2のLGBT当事者の問題ではなく、それ以外の95%の人間の問題といえる」
噛みしめたい。噛みしめてほしい。
同書は、Amazon Kindleの読み放題でも読める。性的マイノリティでない方に、ぜひ読んでいただきたい。