なぜジェンダー・フルイドという概念を普及したいのか?
私はジェンダー・フルイドという概念を普及させたいと思い、微力ながら、少しずつ行動を始めています。
このブログを始めたのが、その第1歩でした。
次に、Facebookに秘密グループを作りました。私の友達だけ十数人という小さなグループですが、私にとっては意義の大きいことでした。これについては別の記事で語りたいと思います。
まだこのぐらいの行動ですが、秘密グループのほうには大ざっぱながら5年後までのロードマップを示しています。
私がジェンダー・フルイドという概念が普及してほしいと願う理由は大きく3つです。
順番に説明していきます。
1. 楽になれる人がいる
これは私自身がそうでした。
自分のことをずっと女装趣味者だと思っていましたし、一時期はトランス・ジェンダーだと思ってカウンセリングを受けたこともありました。そのときは、かなり思い詰めていて、性別適合手術を受けることが願いでした(後述する理由で、受けなくて幸いでした)。
しかしどうも違うという違和感がずっとあり、東大の安冨歩教授のようにフルタイムで女装して生きていきたいと思う時期と、女装なんか別にしたくない時期が交互に訪れるなど、
- 自分はいったい何者なんだろう?
- 何のためにこの世に生まれてきたんだろう?
と、ずっと思い悩んできました。
それが、”オックスフォード英語辞典が「ジェンダー・フルイド」を新語として追加”という記事を読んで、救われたのです。
それ以来、私の女モードである「ミユキ」を以前よりずっと自然に表に出せるようになりました。
ミユキはどうやら、ずっと自分を「日陰者」*1だと思っていたみたいで、他人にあまり心を開くことができなかったのですが、自己開示どころか応援をお願いするようなことまでできるようになりました。
我ながらすごいことだと思います。
先ほどリンクした記事の最後に、実はいま読み直して気がついたのですが、以下のメッセージがありました。
社会から押し付けられるステレオタイプと戦うには武器が必要で、ことばはその武器の中でももっとも強力なもののひとつだと思います。「ジェンダー・フルイド」のような新たな「武器」が人口に膾炙することで、より多くの人がより自由になれることを願っています。
本当にこの通りだと思います。私は「ジェンダー・フルイド」という言葉を知って、とても強くなれました。そして同じように強くなれる人がたくさんいると思うのです。
2. 間違って性別適合手術を受ける人を少しでも減らせるかもしれない
私が一時期、自分をトランス・ジェンダー(医学用語でいえば、性同一性障害)だと感じて、カウンセリングを受けたのは前にも述べた通りです。
途中で違うと気づいて、自主的にカウンセリングを打ち切りましたが、もしかしたら性別適合手術を受けていたかもしれません。
実は、性別適合手術を受けても、心が満たされず、絶望して自殺する人が多いのです。ですので、日本では性別変更のチェックがかなり厳しいのですけど、1日も早く「本来の性に」と思い詰める人の中には、海外で性別適合手術を受ける人*2も出てきます。
それで満たされれば、何も問題ないと思うのですが、中には鬱病になったり、自殺したりする人もいます。このような人の中には、少なからずジェンダー・フルイドも含まれているのではないでしょうか。
「ジェンダー・フルイド」という概念を知っていれば、このような悲劇が防げたかもしれません。
3. ジェンダー・マイノリティーへの理解が深まる
私自身がジェンダー・マイノリティーに関する勉強中なので、いろいろとご教示をいただきたいことが多いのですが、勉強中の私が見ても現時点でのジェンダー・マイノリティーへの理解はまだまだ浅いものだと思います。
LGBTという言葉が普及し、一定の理解が得られ始めたと思っています。ですが、この資料をご覧ください。
生殖・内分泌 クリニカルカンファレンス
GID(性同一性障害)と産婦人科医
2)性同一性障害とは―セクシャルマイノリティーの基礎知識―
医学部の学生でも8割近くが、性同一性障害と同性愛の違いが説明できません。さらにこれを書いた先生も、「性同一性障害」が「差別語」という認識がありません。*3
とはいうものの、この資料における「セクシャルマイノリティー」(≒ジェンダー・マイノリティー)への理解は正確だと思います。引用させていただきます。
セクシャルマイノリティー sexual minority(性的少数者)とは,何らかの意味で「性」のあり方が非典型的であり,少数者に属する人のことである.「性」には大まかに,1)生物学的性(sex),2)性自認(gender identity),3)性指向(sexual orientation)の3つの局面があると考えられている.代表的な組合せを表1に示す.生物学的性別と性自認が一致し反対の性別に性指向が向いている者は,多数であるというだけであり,他のあらゆる組合せがありうる.少数者は,「間違っている」わけではなく「疾病」でもない.単に,典型的でないというだけである.
私も勉強中の身で生意気と思いつつ、以下の記事を投稿しています。
miyuki-morikawa.hatenablog.com
私は上の記事で、性区分×性対象×性自認×性文化の4つの組み合わせと書きました。上の引用では3つの組み合わせですが、大切なことは組み合わせだということです。
LGBT(最近ではLGBTQ?)という言葉が、セクシャル・マイノリティーやジェンダー・マイノリティーにとって「力強い味方」だと認めます。
でもこの言葉だけだと、医学部の学生の8割近くが「性同一性障害と同性愛の区別を説明できない」ことになります。一般の人ならほとんどがこの区別は付かないでしょう。さらにマイノリティーの種類はこれぐらいしかないと思い込むことでしょう。
ジェンダー・フルイドは極めて多様なジェンダー・マイノリティーのごく一部です。しかし、それが知られることによって、「こんな概念もあるんだ」とジェンダー・マイノリティーの多様さを知ってもらうことはできるはずです。
もちろん「ジェンダー・フルイド」という概念が普及すれば、私たち「ジェンダー・フルイド」も暮らしやすくなると思います。ジェンダーフリーのトイレが増えるだけでも、本当に助かりますので。
私は、ジェンダー・フルイドが一般の人にきちっと認知されるには5年はかかると思っています。その前提でロードマップを描き、行動を始めました。応援してくださる方が、このブログの読者になっていただければ、本当にありがたく存じます。
しようもない記事も多いですがw、こういう真面目な?記事も書いていくつもりです。