揺らぐ性を生きる~私はジェンダー・フルイド

ジェンダー・フルイドという概念を1人でも多くの方に知っていただきたく、いろいろと書いております。

マンガの影響?

私のような人格が形成されたことに関して、マンガやアニメの影響は大きいのではないか。

 

すでに書いたと思うが、『リボンの騎士』の影響は大きい。

ふだん王子としてふるまっている主人公のサファイアが、たまに「女装」したり、隣国の王子様に恋心を寄せているシーン*1にはドキドキしたものだった。

 

それ以上に「憧れ」を感じていたのは、バレエマンガの世界だった。

当時の小学館の学習雑誌にはなぜか、死んだ母親を目標にプリマドンナを目指すが、家庭環境に恵まれずに苦労する少女が主人公のマンガが連載されていた。

練習着のレオタードやチュチュ、トウシューズ、そしてきらびやかな舞台衣装ーーどれもが、私の「乙女心」を刺激した。

トウシューズに画鋲を入れる嫌がらせにさえ、「ああ、これが女の世界なのね」と憧れる始末だった(笑)。

 

だからといって、バレエ教室に通う「勇気」はなかった。

教室側からすれば大歓迎だっただろう。だが「女の中に男が1人」なんてことでいじめられる時代だった。

それに私がなりたかったのはバレリーノではなく、バレリーナだった。そんなことを親には言えなかった。

 

後年、この「バレエマンガの世界」は江口寿史によってパロディー化される。

そして江口寿史にも、私に深い爪痕を残した作品がある。

そう『ストップ!!ひばりくん』だ。

 

1982年から83年にかけて、私は浪人生活を送っていた。

暗いというほどではなかったが、それほど裕福な家庭でもないので、絶対に1浪で終わらせるぞと決意し、マンガさえ読まずに勉強したのだった。

『ストップ!!ひばりくん』の連載が始まったのは、まさにマンガ断ちをしていた時期だった。私がこの作品を知ったのは、大学合格後に入った安い中華料理店で、たまたま「少年ジャンプ」を手に取ったからだった。

 

衝撃だった。

自分が過ごしたかった中学・高校生活がまさに展開されていた。

 

私が大学時代に一人暮らしにもかかわらず女装にのめり込まなかった理由は、当時AIDSはゲイがかかる病気だとされていたこと、経済的に女装に費やすお金がなかったこと*2、それまで彼女に恵まれなかったので大学でリベンジしたいと考えたことだと思っていた。

これらもやはり理由ではあった。

しかし一番の理由は、ひばりくんのあまりのかわいらしさ、きれいさに打ちのめされたからかもしれない。

*1:最近は性対象もあやふやな感じになっているが(笑)、つい最近までははっきりと対象は女性だった。たぶんサファイアに感情移入する度合いが強すぎたのだろう。

*2:AIDSの話と経済力の話は表裏一体だった。私は当初ゲイバーでバイトしながら、女装代を稼ごうと考えていた。ところがそれはAIDSにかかるリスクを極端に高めることだと思ってやめたのだった。