揺らぐ性を生きる~私はジェンダー・フルイド

ジェンダー・フルイドという概念を1人でも多くの方に知っていただきたく、いろいろと書いております。

50年前は・・・

タロットカードにユング心理学を持ち込むのは賛否両論あると知っていますが、私は持ち込み派です。

それで、ユング心理学も勉強しています。といっても本を読む程度ですが。

 

先日買ったのは、この本。Amazonマーケットプレイスで手に入れました。

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これは2010年に出た新装版の初版ですが、元々の初版は1967年、51年前に出ています。

新装版ということですが、河合隼雄先生は2007年に亡くなっておられるので、内容は変わっていないようです。つまり50年前の考え方がもろに出ていると言っていいでしょう。

 

読んでいてビックリしつつも、さもありなんと思ったのは、高校生の同性愛を治療する話が出ていたこと。当時は同性愛は病気で、しかも心理療法で治療できると思われていたんですね。

ビックリしたのは今の基準で考えたから。

さもありなんと思ったのは、当時は欧米でもまだまだ同性愛に対する風当たりが強かったからです。

コンピューター関係者ならほぼ必ず知っているアラン・チューリング第二次世界大戦中には、ドイツの暗号を解いて連合国の勝利に貢献したイギリスの天才学者です。戦後はコンピューターサイエンスの基礎を作りました。

しかし、1952年に同性愛の「罪」で告発され有罪となり、地位も名誉もすべて剥奪され、2年後に自殺しました。

イギリスで「他に人が見ていないところでの成人男性間の性交渉」が合法になったのは1967年、さらに緩和されて「未成年が見ていないところ」に変更されたのが1997年のことです。*1

ですので、同性愛が「病気」だというのは、1967年当時は「常識」的だったろうし、心理療法で治療できるとされても不思議ではなかったのです。

 

わずか50年で、人の考え方は大きく変わりました。しかし、いまだに嫌悪感を抱く人が多いのも、ある意味仕方ないことです。

嫌悪感を簡単に(言葉を含めた)暴力にさせないことと、理解者を増やすことはどちらも必要ですが、分けて考えるべきことだと思います。

嫌悪感を持つ人への憎しみを露わにし過ぎると、理解者候補の中間層が引いてしまうことがあるからです。